都立(公立)中高一貫校の区分
現在、従来の中学校・高校という道以外のさまざまな学校制度の多様化が進められています。そのうちの1つが都立(公立)の中高一貫校です。
都立(公立)の中高一貫校には3つのタイプ、形態「中等教育学校」「併設型中高一貫教育校」「連携型中高一貫教育校」があります。

中等教育学校
都立(公立)の中高一貫校「中等教育学校」は、一つの学校として、前期課程(中学校)と後期課程(高校)の6年間を一体的に中高一貫教育を行います。前期課程(中学校)の入学者の決定に当たっては、学力検査は行わず、面接、適性検査の結果などを総合的に判断して決定します。
併設型中高一貫教育校
都立(公立)の中高一貫校「併設型中高一貫教育校」は、県立の高校が県立の中学校を併設する場合などが該当し、同じ設置者による中学校と高校を接続して、中高一貫教育を行います。中学校の入学者は中等教育学校と同様に決定しますが、中学校から高校への入試はありません。他の中学校から高校に入学する場合は通常の高校入試を受験する必要があります。
連携型中高一貫教育校
都立(公立)の中高一貫校「連携型中高一貫教育校」は、市町村立の中学校と県立高校が連携する場合などが該当し、設置者の異なる中学校と高校が、教育課程の編成や教員・生徒の交流等を通じ、中高の連携を深めるかたちで中高一貫教育を行います。連携型の中学校から連携型の高校へは簡便な入試で進学をします。
公立中高一貫校ってどれくらいあるの?
平成20年4月現在、公立の中高一貫校は、334校(平成19年度は280校)設立されていて、平成21年度以降に設置が予定されている公立中高一貫教育校は31校となっています。
公立中高一貫校の種類の内訳は、中等教育学校36校、併設型219校、連携型79校です。

グラフは文部科学省より
平成22年度東京都立中高一貫校 入学者選抜日程
平成22年度の東京都立中等教育学校及び東京都立中学校の入学者選抜の日程は以下の通りです。
特別枠募集 日程
※願書は郵送(配達日指定郵便)により受付
願書受付 平成22年1月20日(水曜日)・21日(木曜日)
検査実施 平成22年2月1日(月曜日)
合格発表 平成22年2月2日(火曜日)
一般枠募集
※願書は郵送(配達日指定郵便)により受付
願書受付 平成22年1月20日(水曜日)・21日(木曜日)
検査実施 平成22年2月3日(水曜日)
合格発表 平成22年2月9日(火曜日)
海外帰国・在京外国人生徒枠募集
※願書は窓口への持参により受付
願書受付 平成22年1月17日(日曜日)・18日(月曜日)
検査実施 平成22年1月26日(火曜日)
合格発表 平成22年2月1日(月曜日)
なお、各中学校の入学者決定に関する実施要綱は、2009年9月頃までに各中学校において募集要項を作成される予定です。
中高一貫校への入学者はどのように決めるのか?
都立の中高一貫校の検査内容は、各中学校の特色に照らし、生徒の目的意識、6年の一貫教育の中で学ぼうとする意欲、課題発見・解決能力、集団への適応性等、中高一貫教育校で求められる適性を見るほか、創造力や協調性を試されます。
ただし、受験競争の低年齢化につながないように学力検査試験は行わず、小学校長から提出された報告書と面接、作文、適性検査、実技検査のいずれかを組み合わせて実施します。
小学校長から提出された報告書には、「学籍の記録」「各教科の学習の記録」「総合的な学習の時間の記録」「特別活動の記録」「行動の記録」「出欠の記録」「総合所見」などが記入されます。
また、出題される問題は、小学校の教育課程に基づく日常の学習活動を基本に、教科横断的な力や課題発見・解決能力などをみるものが出題されます。
入学者選抜が終わったのちは、本人への得点開示ができます。受検者又は受検者の保護者から直接都立中学校あてに本人得点の開示請求を行うと、都立中学校長は受検者等であることを受検票などで確実に確認の上、受検者に「検査得点表」交付します。
平成21年度入試の検査方法
| 公立中高一貫校 | 募集区分 | 検査方法 | 都立小石川中等教育学校 | 特別枠 | 報告書・作文・面接 | 都立小石川中等教育学校 | 一般枠 | 報告書・ 適性検査(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) |
白鴎高等学校附属中学校 | 特別枠 | 報告書・面接・実技検査 (実技検査は区分B(囲碁・将棋等)のみ) |
白鴎高等学校附属中学校 | 一般枠 | 報告書・適性検査(Ⅰ・Ⅱ) | 都立両国高校付属中学校 | 一般枠 | 報告書・適性検査(Ⅰ・Ⅱ) | 都立桜修館中等教育学校 | 一般枠 | 報告書・適性検査・作文 | 立川国際中等教育学校 | 帰国・在京枠 | 成績証明書等・面接・作文 (面接・作文は日本語又は英語による) |
立川国際中等教育学校 | 一般枠 | 報告書・適性検査(Ⅰ・Ⅱ) | 武蔵高等学校附属中学校 | 一般枠 | 報告書・適性検査(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) | 千代田区立九段中等教育学校 | 区分A | 報告書・適性検査(Ⅰ・Ⅱ) | 千代田区立九段中等教育学校 | 区分B | 報告書・適性検査(Ⅰ・Ⅱ) |
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難関化する公立中高一貫校
2009年5月11日 asahi.com
難関化する公立中高一貫校、検証へ 文科省
全国に広がる公立の中高一貫校をめぐり、文部科学省は入学選抜のあり方などについて今月にも議論を始めることを決めた。「難関化して小学校の勉強では合格できないところがあり、公教育として問題だ」との批判を受けたものだ。文科省は現状をくわしく検証する考えだが、保護者には「私立のように学費をかけないで大学進学に期待がもてる」と受験熱が高い。見直し論議は広く関心を呼びそうだ。
公立の中高一貫校は99年施行の改正学校教育法で認められ、08年4月時点で158校ある。当初は、6年間でゆとりをもって教育し、生徒の個性を伸ばすための制度とされた。法改正の際、国会は「偏差値による学校間格差を助長させない」と付帯決議し、施行規則でも「学力検査を行わない」と念押しして定めた経緯がある。
しかし、状況は一変している。大学進学実績が高い高校が併設した中学などで競争率は跳ね上がり、学校側は「適性検査」と呼ぶ長文の問題を出題。私立のように難しい計算を解くような問題ではないものの、文章や図表などを読み解く高い考察力を求め、私立入試並みの対策が必要なところが多くなっている。小学校などの現場には「私立に対抗して成績がよい子どもを早く確保しようとしている」という指摘が上がっている。
県立千葉高校(千葉市)に昨春併設された千葉中学は、初年度は約27倍、今春も約17倍と高い競争率になった。地元の塾は専門の対策講座を設けたり、出題内容を分析した模試を実施したりしている。京都府の伝統校、府立洛北高校の付属中学も6倍を超えている。
文科省が議論を始めるきっかけになったのは、規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船前会長)の動きだ。「私立への『民業圧迫』にならないか」といった観点から公立一貫校の問題を議論。昨年末、「塾通いなどが必要で、高額所得者が有利になる」「公立が担うべき役割を明確化するべきだ」と批判する答申をまとめた。答申は「抜本的な改善」を求め、▽地域の「トップ校」の高校には中学を設けない▽面接、作文、推薦などを適切に組み合わせる▽志願者が3倍程度を超えたら、選抜の過程で必ず抽選を採り入れる――といった方法を提案している。
これを受け、文科省は今月にも中央教育審議会で議論を始める考えだ。各校が実施している「適性検査」はどうあるべきか、中高6年間の教育内容と目標・理念をどうとらえ、どう進めていくべきか――について関係者にヒアリングし、検証を進める。
文科省の教育制度改革室は「競争が過熱気味な一方で、保護者のニーズが高いのも事実。こうした状況をどう考えるべきか、難しい問題をはらんでいる。いずれにせよ、制度開始から10年がたち、公立の一貫校の意味、教育内容と成果もあわせて検証する時期に来ている」としている。(宮本茂頼、上野創)
塾も対策に続々と乗り出す
2009年4月13日 asahi.com
塾も対策に熱、高まる倍率 広がる公立の中高一貫教育
全国に広がる公立の中高一貫校。本来は一部の私立のような大学進学シフトではなく、カリキュラムにゆとりを持たせるためにつくられたのだが、有名大学への合格者を伸ばす学校も出ている。人気校ともなると小6の入学選抜の競争倍率は10倍以上に跳ね上がり、塾の入試対策が熱を帯びる。
国立大へ現役合格増
滋賀県立守山高校(守山市)は03年に中学校を併設。今年、中学から入学した生徒が初めて大学を受験した。
京都大学の合格実績は、過去5年間で浪人経験者の2人だけだったが、今春は現役で3人が合格。前年は合格者がいなかった滋賀医科大医学科にも3人が合格した。いずれも中学から入学した生徒だ。
同高は、英語、理数での発展的な学習や、「人間探究学」と名付けた総合的な学習を中高通じて実施している。進路担当の堀浩司教諭は「高校入試がないのでじっくりと基礎学力が固められる。『人間探究学』で将来について考え、受験の動機づけがしっかりできた」と言う。
02年に中学を併設した岡山県立岡山操山高校(岡山市)も、「中高一貫一期生」が卒業した昨春、東大に4人が合格した。それまでは5年間で1人。今年も東大に4人が現役合格し、旧帝大など入試が難しいとされる国立大学にも31人が現役で合格した。三浦隆志教諭は「互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、全体の学力が高まる。高校からの入学者にも良い効果をもたらす」。「学力だけでなく豊かな人間性もはぐくむ」というのも教育方針だ。
99年から設立が認められた公立の中高一貫校だが、必ずしも成功した事例だけではない。香川県では10年度末で閉校になる中学もある。大手進学塾の関係者は「母体となる高校が『ブランド校』かどうかで明暗が分かれている。過疎地に生徒を集めるためのような学校だと厳しい」と指摘する。
04年度以降に中高一貫化し、中学からの入学者がまだ卒業していない高校には、千葉、小石川(東京)、洛北(京都)、宮崎西など、伝統校や進学校が目立つ。
新しい受験層が誕生
しかし、人気校に入るのは簡単でない。「適性検査」と呼ばれる、論理的な思考力や記述力をみる教科横断的な問題を突破しなければならない。複数の表やグラフを見比べて傾向を導き出したり、長文を読んで内容をつかんだ上で感想の作文などを書いたりする。難しい計算や膨大な暗記が求められる一部の私立中学の受験とは異なるが、それでも「小学校の勉強だけでは厳しい。訓練は欠かせない」というのが各学習塾の共通した見方だ。
大手進学塾・栄光ゼミナール(東京)は都内の100以上の教室に公立中高一貫対策コースを設ける。授業の半分は基礎学力、残りは論理力や記述力を磨く適性検査対策にあてる。作文をたくさん書く、過去の出題例をテーマに討論するといった内容で、担当者は「とにかく考える習慣をつけてもらうようにする」と話す。
塾関係者には、都立の一貫校の選抜問題について「考える力がつく」「対策の勉強をすれば合格できなくても無駄にはならない」と評価する向きもある。しかし、それも一様ではなく、塾側が「私立入試のような知識重視型だ」と指摘する出題も少なくない。
栄光ゼミナールの今年の推計では、首都圏の1都3県で私立や国立の中学を受験した小6生は約5万人。一方、中高一貫型の公立中学を受験した子も約1万6千人いる。公立受験者の2割程度が私立や国立の併願者とみられるという。担当者は「私立を目指す熱心な層と、地元の公立中学で良いという層。その間に、公立一貫校の中学を目指す新しい受験者層が生まれた」と分析する。(宮本茂頼)
2009年4月13日 asahi.com
広がる選択肢、魅力は学費の安さ
2009/07/08 東洋経済オンライン
急増する公立中高一貫校、広がる選択肢、魅力は学費の安さ!《本当に強い中高一貫校》
従来の6・3・3制だけでなく、学校の選択肢を広げるために導入された中高一貫教育制度。1999年4月に宮崎県、岡山県に初めて公立一貫校が設立されてから、今年で10年が経過した。画一化や「荒れ」、授業時間数削減によって、私立に比べて地盤沈下したと指摘される公教育。その復権を目指す起爆剤にと、この間、全国各地で公立一貫校が相次いで誕生した。東京都では来年度、4校を一挙に開校。全国では合計172校になる予定だ。
そして今、深刻な不況の中で、公立一貫校への関心がますます高まっている。年収が伸び悩み、さらにはダウンも覚悟しなければならない現状を受け、私立受験に二の足を踏む家庭が増えている。安い学費で充実した教育を――。そうした願いに、公立一貫校は応えることができるのだろうか。
伝統の教養教育で自主的な学習態度を醸成
公立一貫校は、高い進学実績のある伝統校を母体にするケースが多い。千葉県立千葉高校(千葉市中央区)に併設された県立千葉中学校もその一つだ。県立千葉高校は近年、私立中高一貫校の渋谷教育学園幕張に抜かれるまで東大合格者数で県内首位だった進学校。旧制中学以来の「重厚な教養主義」を掲げて・・・